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逆日歩とは?仕組み・計算方法・リスク回避のポイントを徹底解説

2025年3月2日

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逆日歩(ぎゃくひぶ)とは、株式の信用取引において「空売り」ポジションが多くなり、貸し株の需要が供給を上回る際に発生する追加のコストです。

これは、貸し株料として証券会社に支払う通常の金利に加えて発生し、空売りを行う投資家にとっての負担となります。

この記事では、逆日歩の仕組み、計算方法、リスク回避のポイントを詳しく解説します。

逆日歩とは?

逆日歩とは?

逆日歩とは、株を「信用売り(空売り)」するときに、追加でかかるお金のことを指します。

空売りとは、まだ持っていない株を証券会社から借りて売る方法です。「あとで安く買い戻せば、差額が利益になる」という考えで行われます。

でも、株を貸してくれる量には限りがあります。

売りたい人が多くて、借りたい株が足りなくなると、証券金融会社(たとえば日本証券金融)が、足りない分を集めようとします。

そのとき、株を借りた人に対して「追加のお金を払ってください」と言われることがあります。

これが逆日歩です。正式には「品貸料」とも呼ばれ、借りる側にとっては負担となります。

この逆日歩は、売る人が多すぎて株が足りなくなったときにだけ発生します。つまり、「空売りが人気すぎる」と起きる、特別なコストです。

逆日歩が発生する仕組み

逆日歩が発生する仕組み

1. 空売りが増えると株が足りなくなる

手元に株がなくても「借りて売る」ことができます。これを「空売り」と呼びます。

しかし、同じ株を空売りする人が多くなると、証券会社が貸すための株が足りなくなることがあります。

特に、値上がりして注目されている株や、もともと取引が少ない株では、このようなことが起こりやすいです。

2. 株を貸す人が足りないと、追加の費用が発生する

株を借りるときは、証券会社が「証券金融会社」というところから株を借ります。

でも、空売りしたい人が多くて、貸せる株が足りないと、証券金融会社は追加で株を集めなければなりません。

このときに発生する特別な費用が「品貸料(しながしりょう)」です。

この費用が発生すると、空売りをした人がそれを払うことになります。

3. 空売りをした人のコストが増える

この「品貸料」のことを、私たちは「逆日歩(ぎゃくひぶ)」と呼びます。

逆日歩は、空売りをした人が1日ごとに払う仕組みです。

そのため、長く空売りの状態を続けると、毎日のように費用がかかってしまい、せっかくの利益が減ってしまうおそれがあります。

4. 具体例

例えば、次のようなケースを考えてみましょう。

・1株あたりの逆日歩が「5円」
・1,000株を空売りして「3日間」持ち続けた場合

このときに発生する費用は、
5円 × 1,000株 × 3日間 = 15,000円」です。

つまり、知らずに空売りを続けていると、いつの間にか1万5,000円もの費用を払うことになってしまうのです。

逆日歩の計算方法

逆日歩の計算方法

逆日歩の金額は証券金融会社によって日々決定され、1株あたりの品貸料として公表されます。

ここでは、逆日歩がどのように計算されるのかをご説明いたします。

1. 逆日歩の計算式

逆日歩の金額は、以下のように計算します。

例えば、

・1株あたりの逆日歩が「10円」
・空売りした株の数が「1,000株」
・その株を持っていた日数が「5日間」

このときの逆日歩の合計は、
10円 × 1,000株 × 5日間 = 50,000円」になります。

つまり、5万円の費用がかかるということです。

利益が出ていても、逆日歩によって思ったより少なくなってしまうこともあります。

2. 注意しておきたいこと

逆日歩には、次のような特徴があります。

・日によって金額が変わるため、あらかじめ正確な費用を知ることはできません。
・空売りで株価が下がっても、逆日歩が高ければ利益が減ってしまう場合があります。
・取引量が少ない銘柄や、人気のある株は逆日歩が発生しやすい傾向にあります。

特に、株主優待の前後などは空売りが集中するため、逆日歩が高くなりがちです。事前に「貸借銘柄」の状況や、過去の逆日歩の動きを確認しておくと安心です。

逆日歩の影響について

逆日歩の影響

1. 信用売りをしている人への影響

逆日歩が発生すると、せっかく株価が下がっても、利益が少なくなってしまいます。場合によっては、逆日歩のせいで利益どころか、損をしてしまうこともあるので注意が必要です。

<例>株価が下がってもうれしくないケース

・想定利益:株価1000円 → 900円に下落(100円の利益)
・逆日歩負担:10円 × 1,000株 × 5日 = 50,000円のコスト
・結果:利益10万円 - 逆日歩5万円 = 利益減少

2. 株価への影響

逆日歩が何日も続くと、空売りをしている人の負担がどんどん大きくなります。そのままでは損がふくらむため、あきらめて株を買い戻す人も出てきます。

これを「踏み上げ」といって、売っていた人たちが一気に買いに回ることで、株価が急に上がることがあります。

とくに、信用売りの人が多い銘柄では、このような動きが起きやすくなります。

逆日歩のリスクを回避する方法

逆日歩のリスクを回避する方法

1. 銘柄の貸借状況をチェックする

貸借倍率とは、信用買いと信用売りのバランスを見る数字です。

・貸借倍率が1未満 → 売っている人が多く、逆日歩が出やすい
・貸借倍率が1以上 → 売っている人が少なく、逆日歩は出にくい

たとえば、貸借倍率が0.3など、とても低い場合は、逆日歩が発生する可能性が高いので注意しましょう。

2. 権利付き最終日に気をつける

配当金や株主優待がもらえる「権利確定日」の前になると、それを目的にした信用売りが増えます。これを「つなぎ売り」と言いますが、売りが増えると逆日歩も発生しやすくなります。

とくに、人気のある優待銘柄では、逆日歩がとても高くなることがあるので要注意です。

3. 一般信用売りを使う

もし対応している証券会社を使っていれば、「一般信用取引」という方法もあります。この方法では、逆日歩が発生しません。

とくに「無期限」の一般信用売りなら、期限を気にせず使えるので安心です。

ただし、どの銘柄でも使えるわけではなく、銘柄の数や在庫に限りがあります。人気のある株だと、在庫切れで売れないこともあるので、事前に確認が必要です。

逆日歩のよくある質問

逆日歩のよくある質問

Q1. 過去の逆日歩はどこで確認できますか?

過去の逆日歩は、日本証券金融のホームページや、証券会社のサイトで調べることができます。また、「貸借データ」をまとめているウェブサイトでも確認できますので、気になる方はチェックしてみてください。

Q2. いつ発表されますか?

逆日歩は、その日の翌営業日(次の平日)に発表されます。

だいたい午後3時ごろ、日本証券金融などのサイトに掲載されます。証券会社の取引画面でも見ることができますので、ご自身の環境で確認してみましょう。

Q3. 金額はどうやって決まりますか?

逆日歩の金額は、以下のような条件で決まります。

  • 品貸料率:証券金融会社が毎日決めています。売りたい人が多いほど、この料率は上がる傾向があります。
  • 信用売りの残りの量(建玉数):売りポジションが多いと、逆日歩がつきやすくなります。
  • 貸せる株の量と需要のバランス:貸す株が少なく、売りたい人が多いと、逆日歩が発生しやすくなります。

逆日歩は「1株あたり○円」として発表され、それに自分の株数をかけた金額が、実際にかかる費用になります。

Q4. 上限がありますか?

はい、あります。

1日に発生する逆日歩には上限が決まっています。これはルールとして決められており、制度信用取引を利用する際の安心材料にもなります。

ただし、権利付き最終日などには、数日分の逆日歩がまとめてかかることがありますので、注意が必要です。

Q5. 高くなりやすいのはどんなときですか?

以下のような場合に、逆日歩が高くなることがあります。

・株主優待の権利付き最終日:優待をもらうための「クロス取引」が集中するため。
・出回っている株が少ない銘柄:いわゆる「低位株」や、小さな会社の株など。
・信用売りがとても多い銘柄:買いたい人よりも売りたい人が極端に多いとき。
・規制がかかっている銘柄:信用売りが制限されている場合など。

とくに、優待クロスを行うときは、過去の逆日歩の傾向や貸借倍率(売りと買いのバランス)を事前に確認しておくと安心です。

Q6. つかないこともありますか?

はい、逆日歩が発生しない場合もあります。

貸せる株が十分にあるとき:売りと買いのバランスが取れていると、逆日歩はつきません。

一般信用取引を使ったとき:この場合は証券会社が用意した株を借りる仕組みなので、制度信用取引の逆日歩は発生しません。ただし、「貸株料」という費用がかかることがあります。

Q7. 確定申告で経費にできますか?

はい、できます。

逆日歩は「株を売るときにかかった費用」として、確定申告で経費に入れることができます。申告する際は、証券会社が出している年間取引報告書を見ながら、正しく申告しましょう。

まとめ

空売りはうまくいけば利益になりますが、この逆日歩が大きな負担になることもあります。そのため、売買をするときは、逆日歩も含めたコストをしっかり考えることが大切です。

また、できるだけムダな費用を避けるには、信用取引のルールや仕組みをよく知っておくことが必要です。

投資で成功するためには、情報収集とリスク管理が欠かせません。こまめにチェックしながら、落ち着いて判断していきましょう。

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