株主総会は、株式会社の最高意思決定機関であり、株主が集まって会社の重要な事項を決議する場です。経営に直接関与する機会を持つ株主にとって、株主総会は非常に重要なイベントです。
この記事では、株主総会の基本的な概要、役割と重要性、参加方法について詳しく解説します。
株主総会とは?
株主総会とは、会社の一番大切な話し合いの場です。
株主が集まり、会社の運営について意見を出したり、決めごとをしたりします。会社にとって、とても大事な行事です。
主な目的は、次の3つです。
1. 経営の方針を確認すること
会社のこれからの計画や、どのようにお金を使うかなどを説明します。そして、それを株主に認めてもらいます。
2. 取締役や監査役を選ぶこと
会社のリーダーや見張り役を決めます。ときには、新しい人に入れ替えることもあります。株主が投票して選ぶのが決まりです。
3. 配当金について決めること
会社が儲けたお金の一部を、株主に分けることがあります。これを「配当金」といいます。その金額や出すかどうかを決めます。
※配当についてもっと知りたい方は、「配当利回りとは?基礎知識と利回りが高い銘柄の選び方を詳しく解説」をご覧ください。
株主総会の種類
株主総会には主に、定時株主総会と臨時株主総会の2種類があります。
1. 定時株主総会
毎年、決まった時期に開かれる株主総会です。多くの会社では3月に1年間の決算を終えるので、その後の6月ごろに行われます。
ここでは、会社の1年の成績(決算)を報告したり、役員の選び直しなどが話し合われます。
2. 臨時株主総会
予定外に、急に開かれる株主総会です。たとえば、会社の大きな決まりごとを急いで話し合う必要があるときに開かれます。
また、株主から「総会を開いてほしい」というお願いがあったときも、開くことがあります。
株主総会で議論される主な議題
株主総会では、企業運営に関わるさまざまな議題が取り上げられます。
代表的な内容を以下にまとめました。
1. 会社の活動報告とお金の報告
社長などの経営陣が、会社がどんな活動をしてきたのか、そしてどれくらい利益や損失があったかを説明します。
説明のあとには、株主が質問する時間もあり、会社の姿勢や透明性が見られる場にもなります。
2. 取締役・監査役の選び直しと報酬の話し合い
会社の運営にかかわる人たち(役員)を誰にするか、報酬(給料やボーナス)をどうするかを決めます。
どんな人がリーダーになるのかで、会社の未来が変わることもあるため、株主はこの話題に強い関心を持っています。
3. 配当金やお金の使い道について
株主にとって、会社がもうけたお金をどう使うのかは、とても大事なポイントです。
株主総会では、配当金をどれくらい出すのか、自社の株を買い戻すのかなど、株主への「お返し」について話し合われます。
4. 議決権の行使
株主は、会議で出された議題について「賛成」か「反対」かを選びます。これを「議決権を行使する」といいます。
最近では、会場に行かなくても、郵便やインターネットで投票できる仕組みが整っており、少ない株しか持っていない人でも意見を伝えやすくなっています。
投資家が注目すべきポイント
株主総会は、企業の将来や健全な経営を確認するチャンスです。
投資家として、特に意識したい4つのポイントを紹介します。
1. 経営陣の考え方や実力
総会では、社長や役員が今後の会社の方針や課題について話します。その内容から、どれだけ先のことを考えて行動しているか、信頼できる人たちかを判断できます。
発言の内容だけでなく、答え方や話し方にも注目しましょう。
2. 配当金や株主へのお返し
企業が出した利益をどう使うのかも大切なポイントです。
配当金を出すのか、自社株買いをするのかなど、株主への「お返し」がどのように行われるのかをチェックしましょう。
利益を安定して配る企業は、長く応援したいと思える会社である可能性が高いです。
3. 会社のルールや見える仕組み
「ガバナンス」という言葉はむずかしく聞こえますが、簡単に言えば「正しく運営されているかどうか」です。
外部の人が社内をチェックする仕組みがあるか、社長に何でも決めさせていないかなど、会社のルールがしっかりしているかを見てみましょう。
4. 議決権の使い方と参加方法
最近では、会場に行かなくても家からパソコンやスマートフォンを使って議決権を行使できるようになりました。
紙での投票も可能なので、自分に合った方法を事前に確認しておくと安心です。
どんな方法であれ、自分の考えを会社に伝えることが企業の未来に関わる第一歩です。
株主総会の参加方法
ここでは、株主総会に参加するための基本的な流れを5つのステップでご説明します。
1. 参加できる人
株主総会に出られるのは、総会の「基準日」に株を持っていた人です。
この基準日は、たいてい総会の1か月前に設定されます。
2. 招集通知を受け取る
総会の開催が決まると、会社から「招集通知」というお知らせが届きます。
この通知には、日時・場所・議題などが書かれていますので、しっかり読んでおきましょう。
3. 実際に出席する
当日会場に行く場合は、招集通知と議決権行使書、本人確認のための書類(たとえば運転免許証など)を持っていきましょう。
会場では、配布された資料をもとに説明を聞いたり、質問したりすることができます。
4. 出席できない場合の投票
もし会場に行けない場合でも、事前に「議決権行使書」を使って投票ができます。
この書類に記入し、郵送やインターネットで送ることで、自分の意見を伝えられます。
期限が決まっているため、早めの対応を心がけましょう。
5. 他の人に任せる(代理出席)
自分で出席できない場合、家族や知人などに出席をお願いすることも可能です。このときは「委任状」という書類が必要になります。
委任状には、代理人の名前や、どう投票してほしいかを書く欄があります。代理人がしっかり意見を伝えられるよう、事前に内容を話し合っておくとよいでしょう。
委任状の書き方は、こちらのサイトからご覧ください。
株主総会の流れ
株主総会の一般的な流れは以下の通りです。
受付
株主は、受付で議決権行使書面や株主証などを提示して入場します。
開会の挨拶
議長が開会の挨拶を行います。通常は、社長や取締役会長が議長を務めます。
議事進行の説明
議長が、議事進行の手順や議案の説明を行います。
業績報告
社長や経営陣が、過去一年間の業績や今後の経営方針について報告します。これには、財務報告や事業報告が含まれます。
質疑応答
株主からの質問を受け付け、経営陣が回答します。質疑応答の時間は、株主の意見を反映させる重要な場面です。
議案の審議と採決
事前に通知された議案について審議を行い、採決を行います。議案には、取締役の選任、配当金の決定、定款の変更などが含まれます。採決は、拍手や挙手、議決権行使書面を用いる方法などがあります。
閉会の挨拶
議長が閉会の挨拶を行い、株主総会が終了します。
株主総会のよくある質問
Q1. 誰でも参加できますか?
A. いいえ、誰でも参加できるわけではありません。
株主総会に参加できるのは、「基準日」に株を持っていて、株主名簿に名前が載っている方だけです。基準日はたいてい総会の1か月前くらいに決められています。
Q2. 1株だけ持っていても総会に出られますか?
はい、出席できます。
会社によっては1株でも株主として認められ、総会への招待が届きます。ただし、一部の企業では最低株数を決めている場合もありますので、事前に確認しておくと安心です。
Q3. 出席しないと議決権はなくなってしまいますか?
出席しなくても議決権は使えます。
郵送やインターネットを通じて事前に投票する「議決権行使書」で、自宅からでも意思表示ができます。
Q4. おみやげはもらえますか?
最近は廃止される傾向にあります。
以前は「お菓子」や「記念品」を配っていた会社もありましたが、近年では公平性の観点からやめる企業が増えています。
代わりに、株主優待や配当で株主に利益を還元する流れに変わってきています。
Q5. 服装はスーツで行かないといけませんか?
服装は自由です。
スーツでなくても問題ありません。カジュアルな服装でも大丈夫ですが、会社の会場でのマナーを守るよう心がけましょう。
Q6. 質問したいことがあるのですが、どうすればいいですか?
総会中に「質問タイム」があります。その時間に手を挙げて質問する形になります。
ただし、発言は時間制限があるため、あらかじめ質問をメモにまとめておくとスムーズです。内容は「会社全体に関係すること」が基本です。
Q7. 総会に行くと会社から評価されますか?
総会への出席だけで特別な評価をされることはありません。
しかし、株主として真剣に会社と向き合っている姿勢は、企業側にも伝わります。長期的に見れば、株主の意見が企業の姿勢に影響を与えることもあります。
まとめ
株主総会は、会社の運営が正しく行われているかを確認し、株主が自分の意見を伝えるための大切な場です。
経営陣の説明や、質問のやりとりを通して、今の会社のようすや、これからの見通しを知ることができます。これは、投資をするうえでとても参考になる情報です。
また、議決権を使うことで、株主は会社の重要な決めごとに自分の考えを反映させることが可能です。こうした行動は、会社の健全な成長にもつながります。
自分の権利を正しく使い、会社の未来づくりに関わっていくことが求められます。