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恐怖指数(VIX指数)とは?過去最高の事例と投資への活かし方を解説

2025年3月2日

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株式市場には、投資家の不安や恐怖を数値化する指標があります。それが「恐怖指数」とも呼ばれるVIX指数です。

VIX指数は、米国の代表的な株価指数であるS&P500のオプション取引をもとに算出され、市場のボラティリティ(価格変動の激しさ)を予測する重要な指標として活用されています。

この記事では、VIX指数の基本的な仕組みや数値の意味、具体的な活用方法を詳しく解説します。

恐怖指数(VIX指数)とは?

恐怖指数(VIX指数)とは?

恐怖指数(VIX指数)とは、株式市場にいる人たちが「これから先の相場にどれくらい不安を感じているか」を表した数字です。

この数値が高いと、多くの人が「株が下がりそう」と感じていることを意味します。

VIXは、アメリカの株価の動きをもとに「これから相場がどれだけ動くか(ブレそうか)」を計算して出されます。

みんなが不安になって売り始めると、相場が大きく動くので、VIXも上がっていきます。

例えば、台風が来そうなとき、スーパーで人が急いで買い物をするように、株の世界でも「今のうちに売らないと!」と動く人が増えると、VIXが高くなります。

つまり、VIX指数が高い時は「みんなが怖がっている」サイン。逆にVIXが低い時は、「相場が落ち着いていて、みんな安心している」状態と言えます。

恐怖指数(VIX指数)の数値意味

恐怖指数(VIX指数)の数値意味

VIX指数は、今後30日間のS&P500の予想変動率を数値で表現しており、その水準により市場環境を把握することができます。一般的な目安は下記の通りです。

恐怖指数(VIX指数)の数値意味

TradingViewでは、上記画像のように表示させることができます。

  • 10~15:市場が非常に安定しており、投資家心理が楽観的。低リスク環境と評価され、通常は買い場のチャンスとして注目されます。
  • 15~25:通常の市場変動範囲。リスクとリターンのバランスが取れており、今後の経済指標の動向に注視が必要です。
  • 25以上:市場の不安感が顕著に高まり、急落リスクが懸念される局面。ヘッジ戦略の強化やポートフォリオの見直しが求められます。
  • 40以上:極端なパニック状態。リーマンショックやコロナショック時のような、市場の大幅下落が予想される極端なケースです。

VIX指数の動向を把握することで、投資家は市場の「恐怖感」と「楽観感」を数値的に捉え、適切な投資判断を下すための重要な情報源として活用できます。

恐怖指数(VIX指数)が上昇する理由

恐怖指数(VIX指数)が上昇する理由

VIX指数が上がる理由は、投資家が「これから株価が大きく下がるかもしれない」と不安になるからです。

不安が強くなると、将来の損を防ぐために「オプション」と呼ばれる特別な取引を使う人が増えます。この動きがVIXを押し上げるのです。

ここでは、VIXが上がる具体的な理由を4つに分けてご説明します。

1. 市場の不確実性と経済指標の悪化

・経済の元気がなくなるとき

景気が悪くなったり、企業の利益が下がったり、失業者が増えたりすると、将来の見通しが暗くなります。これにより、不安が広がってVIXが上がりやすくなります。

・景気後退(けいきこうたい)の心配

不景気が始まりそうだ」というニュースが出ると、多くの人が株を売ったり、安全な資産に移したりします。この動きがVIXの上昇につながります。

2. 戦争や災害など、突然のニュース

・戦争・テロ・政治の混乱

国と国との争いや政治の不安が起こると、投資家の不安も高まります。すぐに安全な投資先に移ろうとする人が増えるため、VIXも大きく上がる傾向にあります。

・地震や感染症などの災害

コロナウイルスのような感染症や大地震などが発生すると、企業の活動や経済が止まり、大きな不安が広がります。その結果として、VIXも急上昇します。

3. 金利や金融政策の変化

・金利が上がるとき

中央銀行が金利を上げたり、お金の流れをしぼったりすると、投資がしづらくなります。これが市場にとって不安材料となり、VIXが上がる要因となります。

・先の見通しが見えないとき

この先、金利がどうなるか分からない」という状況も、不安の原因になります。投資家は損をしないように行動するため、結果的にVIXが高くなるのです。

4. 株の動き方や取引の仕組みによる影響

・プログラムによる売買

最近は、コンピューターが自動で株を売買する仕組みが多く使われています。このような取引が急に動くと、VIXも大きく上がることがあります。

・売買が少なくなるとき(流動性の低下)

みんなが「様子を見よう」として動かなくなると、市場全体の取引量が減ります。このようなときは、少しの売買でも株価が大きく動くため、VIXも跳ね上がるのです。

VIX指数の過去最高値はいつ?

VIX指数の過去最高値はいつ?

VIX指数がもっとも高くなったのは、2008年に起きたリーマンショックのときです。

このとき、アメリカの大手銀行「リーマン・ブラザーズ」が倒産し、「次はどこが倒れるのか」と世界中の投資家が不安になりました。

VIX指数の過去最高値はいつ?

その結果、VIX指数は一時的に【96.40】という非常に高い数字を記録しました。これは「市場がものすごくパニック状態にあった」というサインです。

当時はアメリカだけでなく、日本やヨーロッパの株価も急激に下がり、多くの人が大きな損失を受けました。このリーマンショックは「100年に一度の金融危機」とも言われています。

このように、VIXが極端に上がるときは、世界の投資家が強い不安を感じているときです。

恐怖指数(VIX指数)の活用方法

恐怖指数(VIX指数)の活用方法

VIX指数は、ただの「不安のものさし」ではありません。使い方によっては、投資の判断材料として大いに役立ちます。

ここでは、VIXがどのような場面でどう使えるかをご紹介します。

1. VIXが低いとき(市場が安定している場面)

VIXが10~15などの低い数字のときは、市場が落ち着いていて、多くの人が「大丈夫だろう」と安心している状態です。

しかし、安心しすぎて油断してしまうと、思わぬ下落に対応できなくなることがあります。
このようなときこそ、リスクへの備えが大切です。

たとえば、「保険」のようにプットオプションなどでリスクに備えたり、株をいろいろな種類に分けて持ったりするのがよいでしょう。

上手な投資家は、安心なときほど慎重に動きます。

2. VIXが上がっているとき(市場が不安定な場面)

VIXが上昇してきたときは、市場が不安定になっているサインです。株価が上がったり下がったり、大きく動くことが増えてきます。

このようなときには、短い期間で売買する人が増えたり、下がったところをねらって買う「逆張り」を考える人もいます。

ただし、損をしないためには「いつ売るか」「どれくらい買うか」をしっかり決めておくことが重要です。

VIXの動きを見ながら、入りどころや引き時を見極める力が求められます。

3. VIXがとても高いとき(40以上の場面)

VIXが40を超えるときは、過去の例から見ると「市場がそろそろ底かもしれない」と考える人も出てきます。ただし、まだ下がる可能性もあり、油断はできません。

このような極端な場面では、資産を一つにまとめず、いくつかに分けて持つことが大事です。また、無理に売買せず、しばらく様子を見るという選択も一つです。

焦って行動すると、大きな損につながるおそれがあります。長い目で見た計画を立てることが大切です。

VIX指数(恐怖指数)のよくある質問

VIX指数(恐怖指数)に関するよくある質問

Q1. 高いときは買わないほうがいいの?

必ずしもそうとは限りません。VIXがとても高くなると、株価が底に近づいているサインになることもあります。

ただし、すぐに反発するとは限らないため、少しずつ買ったり、リスクを分散したりすることが大切です。

Q2. 上がると株価は下がるの?

多くの場合、VIXが上がると株価は下がる傾向にあります。なぜなら、投資家が不安を感じて株を売るからです。

ただし、VIXが上がったからといって必ず株が下がるわけではなく、あくまで「目安」として使うのがよいでしょう。

Q3. 一緒にチェックすべき指標はありますか?

はい、VIXだけで判断するのではなく、以下のような指標も一緒に見るとよいです。

・日経平均やNYダウなどの株価指数
・出来高(売買の量)
・米国10年債利回り
・金やドルの動き(安全資産にお金が流れているか)

これらを総合的に見ることで、より正確な判断ができます。

まとめ

VIX指数(恐怖指数)は、「今、世の中の投資家たちがどれくらい不安を感じているか」を数字で教えてくれる、とても便利な指標です。

経済の悪化や戦争、災害、金利の変化など、さまざまな理由でVIXは上がったり下がったりします。その動きを正しく読み取ることで、投資のタイミングやリスクの取り方が見えてきます。

また、VIX以外にも「地合い(市場全体の流れ)」や「金利」「出来高(売買の量)」といった指標をあわせて見ることで、より安全な判断ができます。

VIXは「こわい」と感じたときこそ、その意味を知ることで、チャンスに変えられることもあります。恐れず、しかし油断せず、数字を味方につけた投資を心がけましょう。

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