富山第一銀行(7184)の2024年第4四半期決算が発表され、預貸利ざやの改善が年度後半に見込まれるなど、業績に重要な変化が見られます。
この記事では、決算内容を詳細に分析し、利ざやの改善がどのように今後の収益に影響を与えるのかを解説します。
また、これを踏まえた株価予測も行い、個人投資家にとっての注目ポイントを紹介します。
富山第一銀行の事業内容は?
富山第一銀行は、幅広い金融サービスを提供している地域密着型の銀行です。普通預金や定期預金をはじめとする預金業務や、事業者向け融資や住宅ローンなどの貸出業務を行っています。
また、国債や株式などの有価証券の運用、国内外の為替取引も取り扱い、企業の経営改善支援や個人向けの資産運用相談などのコンサルティングサービスも充実しています。
さらに、保険商品の販売やクレジットカードの発行など、幅広いサービスを通じて地域社会の金融ニーズに応えています。
富山第一銀行の決算分析(2024年3月期決算短信)
2024年3月期の富山第一銀行の連結決算は、前年度比で25.7%増の5,284百万円の大幅な増収増益となりました。
貸出金利息や有価証券利息配当金の増加により、コア業務純益は3年連続で増益し、過去最高益を記録しました。経常利益も3年連続で増益となり、好調な業績を示しています。
特に、貸出金利息の増加や有価証券利息配当金の最高水準更新が業績に寄与しました。また、住宅ローンの増加基調が続き、事業性貸出金も増加しています。
さらに、改正自己資本比率規制(バーゼルⅢ)への対応として、自己資本比率の維持と将来的な資本充実のための戦略が進められています。
これに伴い、2025年3月期の業績予想では、連結利益が前年度比で2倍超の120億円を見込んでおり、配当金も増配が予定されています。
富山第一銀行の決算情報は株探で確認できます。成長性や収益性、業績修正の一覧を確認するには、株探プレミアムの申し込みが必要です。
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今回の決算で重視するべき点は下記の通りです。
- 貸出金の増加
- 有価証券の増加
- 預金の増加
- キャッシュ・フローの状況
- 今後の見通し
それぞれについて詳しく見てみましょう。
貸出金の増加
事業者向け融資と住宅ローンの増加により、貸出金残高は前年度比417億円増の9,798億円。
有価証券の増加
積極的なポートフォリオの入替を進め、有価証券残高は前年度比617億円増の5,087億円。
預金の増加
譲渡性預金を含めた預金等の残高は、前年度比162億円増の1兆3,444億円。
キャッシュ・フローの状況
- 営業活動によるキャッシュ・フローは82億4百万円の増加。
- 投資活動によるキャッシュ・フローは△125億12百万円。
- 財務活動によるキャッシュ・フローは△20億38百万円。
現金及び現金同等物の期末残高は679億25百万円。
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今後の見通し
事業者や個人の資金ニーズに対応し、貸出金を増やす方針です。
政策金利の引き上げに伴い、年度後半からは預貸利ざやの改善が期待されます。2023年度に更新した有価証券の利息配当金は、企業利益の拡大が続くことで高水準を維持する見込みです。
2024年度の連結経常利益は178億円、親会社株主に帰属する当期純利益は120億円を見込んでいます。しかし、物価の上昇やDX投資、人材確保への支出が増える見通しです。
また、能登半島地震の影響で追加の信用コストも発生する可能性があります。
富山第一銀行の株価予測(2024年3月期決算短信)
増収増益の実績と今後の積極的な貸出・サービス強化方針から、短期的には株価が上昇する可能性が高いです。配当金の大幅増額と将来的な還元性向の引き上げ方針魅力的です。
さらに、2024年度以降の貸出金増加やサービス強化の方針も、成長期待を高める材料です。
目標株価の予測
5月20日に目標株価を設定
1,514円~1,574円を目標
次の決算発表(約3ヶ月後)までの目標株価です。これは独自のルールに基づいて算出していますが、必ずしもこの株価に到達するとは限りません。
目標株価の結果
最高値の株価
7月17日に1,374円まで上がったものの目標株価に到達せず。
決算翌日始値1,063円、最高値1,374円、+29.2%上昇。
富山第一銀行のチャート分析
チャート画像は「TradingView」のものを使用しています。日足以外のチャートは、TradingViewのサイトかアプリてご確認ください。
5月30日
長期金利が1.1%台に上昇し底固い動き。翌日31日にはギャップアップで始まる。
まとめ
この記事では、2024年3月期の決算を基にした富山第一銀行(7184)を分析し予測を出しました。
2023年度の業績は増収増益となり、特にコア業務純益の過去最高益更新でした。今後も積極的な貸出方針や高水準の配当金維持が期待されます。
投資判断の参考にしていただければ幸いです。