株式投資は、値動きの波に心を揺さぶられることも多く、判断に迷う場面も少なくありません。そんなときこそ役立つのが、昔から語り継がれてきた「株の格言」です。
短い言葉の中に、投資の失敗や成功の知恵が凝縮されており、初心者が冷静さを保ち、落ち着いて行動するための道しるべになります。
この記事では、初心者の方にも覚えやすく、実際の投資判断にも使える格言を15個厳選して、意味や活かし方をわかりやすく解説いたします。
株の格言とは?
株の格言とは、投資の経験者が実際の相場から学んだ教訓を短くまとめた言葉のことです。
昔から語り継がれており、初心者が迷ったときの「心の道しるべ」として活用されてきました。
たとえば、「見切り千両」「頭と尻尾はくれてやれ」などの格言には、感情に流されやすい人間の弱さを戒める意味が込められています。
短い言葉の中に、長年の失敗と学びが詰まっているのです。
なぜ重要なのか?
相場は毎日変化し続けるため、「いつ買うべきか?」「どこで売るか?」といった判断がとても難しいものです。そうしたとき、格言は考えすぎを防ぎ、冷静な判断を促してくれます。
格言は投資の失敗を減らす手助けになります。感情に流されそうなとき、冷静な判断を取り戻せるからです。相場に振り回されそうなときほど役立ちます。
株の格言15選
1. 買いは家まで売りは命まで
株式投資では、「買い」は最悪でも投資額がゼロになるだけですが、「売り(空売り)」は損が無限に広がる可能性があるため、危険性が非常に高いとされています。
この格言は、空売りの怖さを強く伝えてくれる言葉です。
初心者のうちは「安く買って高く売る」ことに集中すべきです。空売りに手を出すと、思わぬ損失で資金を失うことがあるからです。
覚えておくポイント
- 株は0円になっても損失は投資金額まで
- 空売りは株価が青天井になると損失が膨大に
- 初心者はまず現物取引に慣れることが大切
三菱UFJ eスマート証券なら、100円から売買することができます。
2. 頭と尻尾はくれてやれ
「一番安いところで買い、一番高いところで売る」ことは理想ですが、実際は非常に難しいです。この格言は、無理に天井や底を狙わず、ほどほどの利益で満足するのが大切だという教訓を伝えています。
欲を出しすぎると、結果的に売り時や買い時を逃し、利益を減らしてしまうことがあります。
覚えておくポイント
- 相場の全てを取ろうとしないこと
- 利益の一部を逃しても良しとする心構え
- 安く買って十分に上がったら手放す
僕の利益確定方法は、「株の買い時・売り時は?」でまとめています。
3. 人の行く裏に道あり花の山
多くの人が同じ方向に動くと、そこにはすでにチャンスがないことも多いです。逆に、みんなが見ていない場所にこそ、本当の利益が眠っていることがあります。
他人の意見ばかりに頼っていると、自分の判断力が育ちません。相場では、少数派の行動が利益につながることもあります。
覚えておくポイント
- 人気のある株はすでに高値になっていることが多い
- 周囲と逆の動きが利益につながることもある
- 迷ったら自分の分析を信じてみる
4. 見切り千両
損切りを早く決断することは、損失を小さく抑えるためにとても重要です。
この格言は、損失を広げる前に手放す勇気の価値を「千両=大金」にたとえています。
ずるずると持ち続けると、損失が雪だるま式に増えてしまいます。勇気を出して損切りすれば、大きな損を防げます。
覚えておくポイント
- 損失が小さいうちに手放すのが吉
- 「いつか戻る」は期待にすぎない
- 損切りは負けではなく守りの一手
5. 利食い千人力
利益が出ているときに確実に利益を確定することは、投資を続ける上で非常に重要です。含み益は、確定してはじめて「本当の利益」になります。
利益を確定せずに欲を出すと、相場が急に下がって利益が消えてしまうことがあります。適切なタイミングで利食いすることが、勝ち続けるためのコツです。
覚えておくポイント
- 含み益はいつ消えるかわからない
- 少しの利益でも確定する勇気を持つ
- 欲張りすぎず着実な利益を積み重ねる
6. もうはまだなり、まだはもうなり
「もう下がらないだろう」「まだ上がるはず」と思ったときこそ、相場は逆に動くものです。この格言は、投資家の思い込みが裏目に出やすいことを表しています。
感情に流されると、判断を誤りやすくなります。冷静に数字やチャートを見る姿勢が、長く勝ち続けるためには不可欠です。
覚えておくポイント
- 思い込みは相場では危険
- 相場は誰にも読めないことを前提に行動する
- 一度立ち止まって「本当にそうか?」と疑うクセをつける
7. 相場は相場に聞け
ニュースや専門家の意見に頼りすぎるのではなく、実際の株価や値動きをよく観察して判断すべきという教訓です。
情報に振り回されると、判断が遅れたり誤った方向に進んだりします。最も正直なのは「値動き」そのものだという考え方です。
覚えておくポイント
- 株価の動きが全てを語っている
- 情報よりも「今、どう動いているか」が大切
- チャートを見る力を養うことが勝率アップの鍵
8. 売るべし買うべし休むべし
相場には「買い時」「売り時」だけでなく、「何もしない」という選択も大切だという教えです。休むことで冷静さを保ち、次のチャンスに備えることができます。
無理に取引を続けると、焦りや判断ミスにつながることがあります。あえて何もしない勇気が、大損を防いでくれることもあります。
覚えておくポイント
- 無理に売買する必要はない
- 相場が読みにくいときは「休む」ことも戦略
- 心の余裕がよい判断を生み出します
9. 安物買いの銭失い
値段が安いという理由だけで株を買ってしまうと、結局損をすることがあるという教訓です。安い株には、それなりの理由があることが多いのです。
「割安だからお得」と思い込むと、業績悪化や将来性のない企業に投資してしまうリスクが高まります。価格よりも中身を見極める目が大切です。
覚えておくポイント
- 安いには理由があると疑う
- 株価よりも企業内容を確認する習慣をつける
- 長い目で見て価値があるかどうかが判断材料
買う価値があるかどうかは、ファンダメンタル分析が必要です。
10. 落ちるナイフはつかむな
急落している株に手を出すと、さらに大きく値下がりして傷口を広げてしまうことがある、という警告の言葉です。
「安くなったからチャンスだ」と思って買っても、その後さらに下がり続けるケースは多くあります。底を確認するまでは手を出さない冷静さが必要です。
覚えておくポイント
- 急落中の株は危ないサインかもしれない
- 反転の兆しが出るまでは手を出さない
- 無理して買うより機を待つほうが安全
11. 上げ100日、下げ3日
株価はじわじわと時間をかけて上がっていくのに対し、下がるときは一気に暴落するという意味の格言です。
上昇トレンドは育てるのに時間がかかり、崩れるのは一瞬ということを表しています。
「まだ大丈夫」と油断していると、急な下落で大きく損をしてしまいます。上がっているときほど、下がったときの対応を意識しておくことが大切です。
覚えておくポイント
- 上がるスピードよりも下がるスピードのほうが速い
- 利益が出ているときこそ、出口戦略を考える
- 損失は一瞬でやってくると心に刻む
12. 羊飼い相場に逆らうな
市場には大きな資金を動かす存在(機関投資家)がいます。
個人投資家がそれに逆らっても勝ちにくい、という現実を伝える格言です。大きな流れには素直についていくべきという教訓です。
「自分だけが正しい」と思い込むと、相場の流れに乗り遅れたり、逆方向に進んで損をしてしまうことがあります。
覚えておくポイント
- 相場の大きな流れを読むことが大事
- トレンドに逆らっても勝ちにくい
- 無理に逆張りするより流れに乗る方が楽に利益が出やすい
13. 板子一枚下は地獄
これは本来、船乗りの言葉ですが、相場の世界でもよく使われます。「安全そうに見えるが、その下には大きな危険が潜んでいる」という意味で、油断大敵であることを戒めています。
「大丈夫だろう」と軽く考えていると、相場の急変で大損することがあります。常にリスクを想定しておくことが、資産を守るための基本です。
覚えておくポイント
- 平穏なときほど危険に備えておく
- リスク管理を怠らないことが大切
- 相場に絶対安全はありません
14. 相場に王道なし
この格言は、「確実に勝てる方法」や「絶対に儲かるルール」などは存在しないという現実を伝えています。近道を探すよりも、地道に学び、経験を積むことが最も堅実な道です。
多くの人が「簡単に儲ける方法」を求めて失敗します。相場は甘くなく、真面目に取り組んだ人が結果を出しやすい世界なのです。
覚えておくポイント
- 魔法のような儲け方は存在しない
- 成功するには学びと努力が欠かせない
- 焦らずコツコツ経験を積むことが最短ルート
15. 木を見て森を見ず
一つの銘柄や一つのニュースにばかり注目していると、市場全体の流れを見失ってしまうという教訓です。部分的ではなく、全体をとらえる目が必要です。
目先の値動きだけにとらわれると、大きな流れやトレンドを読み間違えることがあります。広い視野で相場全体を見渡す習慣が大切です。
覚えておくポイント
- 個別株の動きだけで判断しない
- 全体の相場や経済の流れを意識する
- 短期と長期、両方の視点を持つことが重要
格言を信じすぎて失敗するパターン
株の格言は投資のヒントとして非常に役立ちますが、言葉の意味を正しく理解せずにそのまま行動してしまうと、思わぬ損失につながることもあります。
とくに初心者の方は、格言を絶対のルールと勘違いしてしまいがちです。
そこでここでは、格言をうのみにして動いてしまったことで起こる失敗例をご紹介します。
1. 初心者が陥りやすい格言の誤解例
「頭と尻尾はくれてやれ」→早すぎる利確で大きな利益を逃す
→ 小さな利益で満足してしまい、あとから倍以上に上がったと後悔するケース。
「もうはまだなり、まだはもうなり」→混乱して売買を繰り返してしまう
→ 判断基準が曖昧で、かえって行動がぶれてしまう。
「人の行く裏に道あり花の山」→逆張りにこだわりすぎて失敗
→ 周りが買っている銘柄をあえて外して損失を出すことも。
2. 失敗しやすい格言と正しい使い方の比較
格言 | よくある誤解 | 本来の意味と正しい活用法 |
頭と尻尾はくれてやれ | すぐに利益確定してしまう | 欲を出しすぎず、ほどよいタイミングで利確すること |
人の行く裏に道あり花の山 | みんなと逆を行けば儲かると思い込む | あえて逆を行くには確かな根拠が必要 |
落ちるナイフはつかむな | 下がっている株には一切手を出さない | 底値が見えた後で買う判断力を持つことが重要 |
3. 格言は判断の杖、ただし頼りすぎは禁物
株の格言は、長年の知恵が詰まった貴重な言葉です。しかし、それを絶対視してしまうと、柔軟な判断ができなくなってしまいます。
相場に正解はひとつではありません。大切なのは、格言を杖のように使いながら、自分の目で見て、頭で考えて行動することです。
まとめ:格言は知恵のつまった相場の地図
株の格言は、相場という迷路を歩くときの地図のような存在です。すべてが正解とは限りませんが、迷ったときのヒントになります。
特に初心者の方は、格言を覚えておくことで、大きな失敗を避けやすくなります。
まずは、自分の投資スタイルに合った格言を1つでも心に留めておくことから始めてみてはいかがでしょうか。
ウォーレン・バフェットなど有名投資家の名言を知りたい人は、下記の記事からご覧ください。