株式投資は大きな利益を得るチャンスがある一方で、思わぬ失敗をすることもあります。
特に初心者は、知らず知らずのうちに落とし穴にはまってしまうことが少なくありません。
例えば、勢いだけで買ってしまったり、損を恐れて売るタイミングを逃したりするケースがよく見られます。
こうしたミスを防ぐためには、過去の失敗例を知り、同じ過ちを繰り返さないことが大切です。
この記事では、初心者が陥りやすい10の失敗と、その回避策を詳しく解説します。
株式投資の失敗談と回避策10選
1. なんとなく株を買ってしまう
「この会社、よく聞く名前だから買ってみよう!」と、深く考えずに株を買ってしまう人がいます。特に初心者は「有名企業=安全」と思い込みがちです。
しかし、実際には業績が悪化していたり、すでに株価が高騰しすぎていたりすることも少なくありません。結果的に、買った直後に株価が下がり、後悔するケースが多発します。
回避策
- 会社の業績や財務状況を確認する(売上や利益が伸びているかチェック)
- 過去の株価の動きを見て、すでに高すぎないか判断する。
- なんとなくではなく、「なぜこの株を買うのか?」を明確にする。
- 「買う理由が説明できないなら買わない」というルールを作る。

業績や財務状況を調べるサイトは「株探」、過去の株価の動きは「TradingView」を使うのがおすすめです。
2. 一度の失敗で投資を諦めてしまう
「初めて買った株が下がってしまった…もう投資なんて向いていない!」と落ち込んでしまう人がいます。
特に、最初の投資で大きく損をすると、「やっぱり株は怖い」と思ってしまいがちです。しかし、投資は一度の失敗で決まるものではなく、経験を積みながら学ぶものです。
回避策
- 失敗の原因を振り返り、次に活かす。
- 一度の損失で全資金を失わないよう、最初は少額で始める。
- 投資の基本を学び、「なぜ失敗したのか?」を分析する。
- 過去の失敗から学び、同じミスを繰り返さないようにする。

3. 一つの銘柄に全財産を投じる
「この株は絶対に上がる!」と確信し、持っているお金をすべて一つの銘柄に投じてしまう人がいます。
しかし、どんなに有望な企業でも、予想外の出来事で株価が急落することはあります。
一つの銘柄に全財産をかけると、大きなリスクを背負うことになり、最悪の場合、資産の大部分を失うことになります。
回避策
- 分散投資をする(複数の業界や銘柄に投資する)。
- 「絶対に大丈夫」は存在しないと肝に銘じる。
- 1つの株に資産の10~20%以上を投じないルールを作る。
- もし1つの株が暴落しても耐えられるように資金を管理する。

4. 損切りができずに塩漬けにする
「そのうち上がるはず…」と損切りをためらい、気づけば長期間含み損を抱えてしまうことがあります。
特に初心者は、「売らなければ損ではない」と考えてしまいがちですが、回復の見込みが低い株を持ち続けることで、他の良い投資機会を逃してしまうこともあります。
回避策
- 損切りルールを決める(例えば「5%下がったら売る」など)。
- 株価が下がった理由を分析し、回復の可能性を判断する。
- 「損を確定させるのが怖い」という心理を克服する。
- 冷静な判断ができるよう、感情ではなくデータで判断する。

5. 周囲の意見に流されてしまう
「友人が『この株は絶対上がる!』と言っていたから買った」「SNSで話題になっていたから買ってみた」など、人の意見をそのまま信じて投資してしまうケースです。
しかし、他人の情報は不確かであり、自分の資金をどう運用するかは自分で決めるべきです。
回避策
- 必ず自分で調べる(企業の業績、ニュース、将来性など)。
- 「なぜこの人はこの株を勧めるのか?」を考える。
- 感情ではなく、データや根拠に基づいて判断する。
- SNSの情報は話半分に聞き、過去の的中率を確認する。

6. 欲張って利確を先延ばしにする
「もっと上がるはず!」と欲を出しすぎて、適切なタイミングで利益確定できず、結果的に株価が下がってしまうことがあります。
特に急騰した株では、一度ピークをつけると大きく下落するケースが多く、「あのとき売っておけばよかった…」と後悔することに。
回避策
- 事前に「目標売却価格」を決め、そこに達したら売る。
- 一部売却して利益を確保しつつ、残りを保有する戦略をとる。
- 相場の勢いが鈍ったら、欲張らずに利確を検討する。
- 「利益を確保することも成功」と考え、確実な利益を優先する。

7. 焦って高値掴みをする
「この株、どんどん上がってる!今すぐ買わなきゃ!」と焦って買った途端、株価が急落してしまうことがあります。
これは特に初心者が陥りやすいミスで、SNSやニュースで話題になった銘柄に飛びついてしまうことが原因です。

8. ナンピン買いで損失を拡大する
「株価が下がったから、もっと買えば平均取得単価が下がる!」と安易にナンピン買いを続けた結果、さらに株価が下がり、損失が膨らんでしまうケースです。
ナンピンは有効な戦略になることもありますが、業績悪化や相場環境の悪化による下落では、単なる「損失の拡大」になってしまいます。
回避策
- ナンピン買いをする前に「下がった理由」をしっかり分析する。
- ただの「希望的観測」でナンピンしない。
- 「損切りライン」を決め、一定以上の損失なら撤退する。
- ナンピンするなら、業績や市場環境に問題がないことを確認する。

9. 信用取引で無理をする
「レバレッジをかければ、大きく儲かる!」と考えて信用取引に手を出した結果、思惑が外れ、大きな損失を出してしまうことがあります。
特に初心者は、信用取引のリスクを十分に理解せずに手を出し、追証(追加保証金)のリスクを抱えることも。
回避策
- 信用取引はリスクが高いため、初心者のうちは現物取引に限定する。
- レバレッジをかける場合でも、過剰なポジションを持たない。
- 追証が発生しないよう、余裕をもった資金管理をする。
- 信用取引のルールや仕組みを十分理解してから利用する。

10. 目先の利益にとらわれて長期的な視点を持たない
「すぐに儲けたい!」と短期間での利益を追い求めるあまり、長期的に成長する企業を見逃してしまうケースです。
短期売買ばかりしていると、手数料や税金がかさみ、結局利益が残らないこともあります。
回避策
- 短期売買だけでなく、長期的な視点での投資も取り入れる。
- 長期的に成長が期待できる企業の株をじっくり育てる。
- 目先の株価変動に一喜一憂せず、企業の本質的な価値を見極める。
- 「短期・中期・長期」のバランスを考えてポートフォリオを組む。

短期売買で手数料が気になる人は、「楽天証券」がおすすめです。一定条件を満たせば、すべて手数料0円で利用できます。
株式投資で失敗した時のメンタル回復方法
株での失敗は投資家にとって避けられない経験ですが、その後のメンタル回復は重要です。
1. 失敗を受け入れることが第一歩
株式投資で損をすると、誰でも落ち込みます。
しかし、最初に大切なのは「失敗を受け入れること」です。なぜなら、失敗を認めることで次に進む準備ができるからです。
失敗を受け入れる方法は
- 「誰でも失敗するもの」と考える。
- 一度、深呼吸して気持ちを落ち着ける。
- 失敗した事実を紙に書き出し、冷静に振り返る。
例えば、多くの成功した投資家も、過去に大きな損失を経験しています。それでも学びを得て成長しているのです。

2. 失敗の原因を分析する
同じ失敗を繰り返さないためには、何が原因だったのかを知ることが重要です。理由がわかれば、次に活かすことができます。
原因を分析するポイント
- 「なぜその株を買ったのか?」を振り返る。
- 資金管理は適切だったか確認する。
- 感情に流されて売買していなかったか考える。
例えば、「決算が良かったから買ったが、実は市場の期待を下回っていた」という場合、決算内容をより深く分析する必要があります。

3. 無理に取り返そうとしない
損をすると「早く取り返したい!」という気持ちになりがちです。しかし、焦って次の取引をすると、さらに損をすることが多くなります。
焦りを抑える方法
- しばらく投資を休んで気持ちを整理する。
- 「損をしても生活に影響はない」と考える。
- 小さな取引から再開し、慎重に進める。
焦りが生まれると冷静な判断ができなくなります。まずは落ち着くことが大切です。
例えば、しばらく株価を見ないようにするのも一つの方法です。

4. 気分転換をする
投資の失敗を引きずると、気持ちがどんどん落ち込んでしまいます。気分転換をすることで、冷静な視点を取り戻すことができます。
おすすめの気分転換方法
- 体を動かして気分をリフレッシュする(散歩・ジョギングなど)。
- 趣味に没頭する(ゲーム・読書・料理など)。
- 友人や家族と話し、気持ちを整理する。
例えば、公園を散歩すると、気持ちがすっきりして前向きになれることが多いです。

5. 少額から再スタートする
失敗を乗り越えたら、すぐに大きな取引をするのではなく、少額で慎重に再スタートしましょう。
慎重に再スタートする方法
- 以前より小さな金額で投資を始める。
- しっかり分析してから買う習慣をつける。
- 一度にまとめて買わず、少しずつ買う。
例えば、以前は100万円の取引をしていたなら、次は10万円から始めるのが良いでしょう。これなら、万が一損をしてもダメージは小さく、精神的な負担も軽減できます。
6. 失敗を学びに変える
「損をした=終わり」ではなく、「損をした=学びのチャンス」と考えることで、より良い投資家へと成長できます。
学びを得る方法
- 失敗した銘柄を分析し、次に活かすポイントを見つける。
- 投資の本や記事を読んで知識を深める。
- うまくいっている投資家のやり方を学ぶ。
例えば、「PERが低いから割安だと思ったが、実は業績が悪かった」という場合、次からは業績のチェックも欠かさないようにしましょう。

株式投資で失敗を恐れず立ち向かう方法
株式投資では失敗を恐れず立ち向かうことが成功の鍵になります。しかし、リスクを無視するのではなく、「失敗を前提にどう行動するか」を考えることが重要です。
ここでは、投資で失敗を恐れずに立ち向かう方法を紹介します。
1. 失敗は成長のチャンスと考える
失敗は貴重な学びの機会です。
投資において損失を経験すると、「自分には向いていないのでは?」と考えがちです。
しかし、実際には成功している投資家ほど多くの失敗を経験しています。重要なのは、同じ失敗を繰り返さないことです。
ウォーレン・バフェットでさえ、投資の失敗を経験しています。むしろ、「失敗することは当たり前」と考えることで、過度な恐怖を感じずに済みます。
成功した投資家の失敗例
投資家 | 失敗の内容 | そこから学んだこと |
Aさん | 企業の成長性を見誤り、大きな損失を出した | 決算書をしっかり分析するようになった |
Bさん | 短期間で利益を出そうとして無理な取引をした | 長期的な視点を持つことの重要性を学んだ |
失敗を次に活かす方法
- 失敗した理由を振り返り、原因を分析する。
- 具体的な改善策を考え、次の取引に活かす。
- 過去の取引を記録し、自分の成長を確認する。
2. 事前に損失の許容範囲を決めておく
事前に損失の上限を決めておけば、大きなダメージを防げます。
投資には必ずリスクがあるため、損失をゼロにすることはできません。しかし、損失の範囲を決めておくことで、大きな痛手を避けられます。
損失許容範囲の決め方
取引金額 | 許容損失(目安) |
10万円 | 1万円以内(10%) |
50万円 | 5万円以内(10%) |
100万円 | 10万円以内(10%) |
損失をコントロールする方法
- 取引ごとに「どこまでの損なら耐えられるか」を決める。
- 許容範囲を超えたら、ためらわずに売却する。
- 「損切りライン」を設定し、機械的に実行する。
3. 失敗しても立ち直るための「予備資金」を持つ
余裕資金があれば、失敗しても焦らずに次のチャンスを待てます。
全財産を投資に回してしまうと、失敗したときに立ち直れません。余裕資金を持つことで、失敗しても冷静に次の一手を考えられます。
予備資金の目安
投資資金 | 予備資金の目安 |
100万円 | 50万円(50%) |
500万円 | 200万円(40%) |
1000万円 | 300万円(30%) |
予備資金を確保する方法
- 生活費とは別に、投資専用の資金を準備する。
- 余裕資金を使って、冷静にチャンスを待つ。
- 無理に取引せず、資金を守ることを優先する。
4. 事前に「最悪のシナリオ」を考えておく
「最悪の事態」を想定しておけば、実際に起きたときに冷静に対応できます。
投資をするとき、多くの人は「この銘柄は上がるはず」と考えます。
しかし、予想と違う結果になることも少なくありません。最悪のケースを考えておくことで、落ち着いて行動できます。
最悪のシナリオと対策
シナリオ | 対策 |
買った直後に株価が急落 | 事前に決めた損切りルールを実行する |
会社の不祥事で株価が暴落 | 業績への影響を分析し、長期保有するか判断する |
市場全体が暴落 | 予備資金を活用し、割安になった銘柄を買う |
最悪のシナリオを考えるポイント
- 「この銘柄が半分になったらどうするか?」と考えておく。
- 具体的な対策を事前に決めておく。
- 実際に起きたときに、冷静に行動できるよう訓練する。
まとめ
株式投資では、誰しも一度は失敗を経験します。
しかし、大切なのは同じミスを繰り返さないことです。今回紹介した失敗例を知っておけば、事前に注意して回避しやすくなるでしょう。
最初のうちは思うようにいかないことも多いかもしれません。それでも、冷静に判断し、正しい知識を積み重ねていけば、着実に成長できます。
「焦らず、欲張らず、慎重に」。この心構えを忘れずに、長く続けられる投資を目指してください。