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株式分割とは?メリット・デメリット、投資家への影響を徹底解説

2025年3月3日

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株式分割とは、1つの株をいくつかに分けることで、1株あたりの値段を安くする方法です。この仕組みにより、株が手の届きやすい価格になり、たくさんの人が買えるようになります。

けれども、ただ株を安くするだけではなく、会社の成長や投資家へのアピールなど、いくつもの意味が込められています。

この記事では、株式分割の仕組みや狙い、どんなときに行われるのか、そして投資家としてどう考えたらよいのかを説明いたします。

株式分割とは何か?

株式分割とは?

株式分割とは、会社が出している株を、細かく分けて数を増やすことをいいます。たとえば「1株を2株に分ける」といった方法が一般的です。これを「2対1の株式分割」と呼びます。

このとき、株を持っている人の株数は2倍になりますが、株の値段は半分になります。つまり、持っている資産の合計は変わりません。

このように、株式分割をしても会社の価値やお金の量が増えるわけではありません。

ですが、1株あたりの値段が安くなることで、もっと多くの人が買いやすくなり、市場での売り買いが活発になることが期待されます。

なお、株式分割の情報は、株探の「今週の【株式分割】銘柄」などで確認できます。

株式分割を行う目的と意味

株式分割の目的と意義

企業が株式分割をする理由は、主に次の3つがあります。

1. 株を買いやすくするため

株価が高すぎると、「買ってみようかな」と思っても手が出しにくくなってしまいます。

特に、投資を始めたばかりの人や、お小遣いの中から投資をしている方にとっては、大きなハードルです。

そこで、株式分割を行って1株の値段を下げると、少ないお金でも買えるようになります。その結果、新しく投資を始める人が増え、株式市場にお金が流れやすくなります。

2. 売り買いがしやすくなるため

株式分割をすると、1株あたりの価格が下がり、取引がより小さな単位で行えるようになります。これにより、売りたい人と買いたい人が増え、株の売買が活発になります。

株の売り買いがスムーズに行える状態を「流動性が高い」といいます。

流動性が高まると、株の値動きが安定しやすくなり、タイミングを見て売買したい人にとっても、やりやすくなります。

特に、短い期間で売買を繰り返す投資家にとっては、大きなメリットとなります。

3. 会社の元気さを伝えるため

株式分割は、業績が好調なときに行われることが多く、「わが社は今、元気です!」というアピールになります。

これを見た投資家は、「これからも伸びそうだ」と期待して株を買うことがあるため、株価が一時的に上がることもあります。

また、成長している企業であるというイメージを広げるきっかけにもなり、企業にとってプラスに働きます。

株式分割を発表するタイミング

株式分割を発表するタイミング

企業が株式分割を行うタイミングには、いくつかのパターンがあります。これはただの思いつきではなく、戦略的に決められていることが多いです。

ここでは、代表的な発表のタイミングをやさしく解説いたします。

1. 株価がとても高くなっているとき

株の値段が上がりすぎてしまうと、1株を買うだけでも大きなお金が必要になり、普通の投資家にとって手が届きにくくなります。

そんなときに株式分割を行うことで、もっと多くの人が買えるようにするのです。

過去の例では、株価が高くなったあとに分割を発表し、その発表がさらに注目を集めるということもよく見られました。

2. 将来の成長に期待が集まっているとき

たとえば、「新しい商品を出す」「海外に進出する」といったニュースがあると、会社の将来に希望を感じる投資家が増えます。

そんなタイミングで株式分割を発表すると、「この会社はこれからもっと成長しそうだ」と思ってもらいやすくなります。

株式分割が、企業の自信のあらわれと受け取られることもあるため、投資家にとっては前向きなサインとなることも多いです。

3. 決算が良かったあと

会社の業績(売上や利益など)がとても良かったという発表のすぐあとに、株式分割を行う企業もあります。

このタイミングを選ぶことで、「今後の成長にも期待してください」というメッセージを投資家に伝えることができます。

決算での好調な数字と合わせて発表されることで、よりポジティブな印象を与えることができるのです。

投資家の気持ちが明るくなり、株に対する興味も高まりやすくなります。

なお、決算内容の見方や注目ポイントについては、「決算短信とは?株初心者が知っておくべきポイントを詳しく解説」にまとめてありますので、あわせてご確認ください。

株式分割のメリット

株式分割のメリット

株式分割には、企業にも投資家にも良い面があります。このしくみをうまく活かすことで、多くの人が投資に参加しやすくなり、市場も元気になります。

ここでは、主なメリットをやさしく説明いたします。

1. 株が売買されやすくなる

株式分割によって、1株あたりの値段が下がると、今まで高くて買えなかった人でも手が届きやすくなります。その結果、売ったり買ったりする人が増え、市場が活発になります。

たとえば、1株が10万円の株よりも、5千円に分かれた株のほうが気軽に買いやすいですよね。

人がたくさん売買する株は、値段の変動が安定しやすく、売るタイミングや買うタイミングもつかみやすくなる傾向があります。そのため、売買の計画も立てやすくなります。

2. 投資できる人が広がる

もともと値段が高い株は、一部のお金持ちや大きな会社しか買えないことが多いです。でも、分割されて価格が下がれば、普通の個人投資家でも手が届くようになります。

こうして、より多くの人がその会社の株を買えるようになると、企業の名前が広まり、社会的な信頼も高まっていきます。結果として、企業にとってもプラスになるのです。

3. 投資家の気持ちにプラスの影響を与える

株の値段が下がった」という見た目だけでも、多くの人が「買いやすくなった」と感じます。とくに初めて株を買う人にとっては、手ごろな値段は安心材料になります。

また、業績が良いタイミングで分割を発表すると、「この会社は調子がいいんだな」という前向きな印象を与えることができます。

これがニュースで広まることで、投資全体の空気が明るくなることもあります。

株式分割のデメリットと注意点

株式分割のデメリットと注意点

株式分割にはよい点がある一方で、気をつけなければならないこともあります。

以下のような点に注意しながら、正しく理解することが大切です。

1. 短い期間で株価が上がりすぎることがある

株式分割の発表をきっかけに、多くの人が一気に株を買い始めてしまうと、値段が急に上がることがあります。こうした状態を「過熱」といいます。

しかし、急に上がった株価は、その後に急に下がることも少なくありません。とくに短期的な値動きにふりまわされないように、落ちついて判断する必要があります。

2. 会社の実力が変わるわけではない

株式分割は、株をいくつかに分けるだけの仕組みで、会社の実力(売上や利益など)が良くなるわけではありません。

つまり、株数が増えても会社の中身はそのままです。株価が本当に上がるかどうかは、今後の業績や景気の流れに左右されます。

分割だけを理由に「この会社はすごい」と思いこむのは、早とちりになる可能性もあるのでご注意ください。

3. 企業にとって手間とお金がかかる

株式分割を行うには、たくさんの書類の作成や、投資家へのお知らせ、取引所への届け出など、いろいろな準備が必要になります。

このため、会社には一定の手間や費用がかかってしまいます。そのため、企業はタイミングや目的をよく考えたうえで、分割を決めているのです。

投資家としても、その背景にある意図をよく見ておくことが大切です。

株式分割が投資家に与える影響と考えるべき行動

株式分割が投資家に与える影響と戦略

株式分割によって、投資家にさまざまな影響が出る可能性があります。

以下のポイントを押さえて、冷静に対応していくことが大切です。

1. 株価の短い期間での動きと、長い目で見た成長

株式分割のあと、ニュースなどの影響で一時的に株価が上がることがあります。とくに注目されている会社では、買いたい人が増えることで、値段が急に高くなることも少なくありません。

ただし、長い目で見て株価が上がるかどうかは、会社の売上や利益、そして世の中の景気の流れに左右されます。ですので、「分割されたからといって必ずもうかる」とは限りません。

短い期間で売買をする方は、値上がりに飛びつく前に「上がりすぎていないか」をよく確認し、思わぬ下落にそなえることが大切です。

2. 配当金の変化と、その後の活用方法

分割されると、持っている株の数は増えますが、1株あたりにもらえる配当金は少なくなることがあります。けれども、トータルでもらえる配当の金額は変わらないことが多いため、あわてる必要はありません。

例えば、分割で株数が倍になれば、配当金も半分ずつに分けられるだけのことです。

このような場面では、増えた株をうまく使い、「配当でもらったお金でまた株を買い足す」という方法(※再投資)を考えると、将来的な資産の増加につながります。

長く投資を続ける方にとっては、小さな積み重ねが将来の大きな差になります。分割をきっかけに投資の計画を見直してみるのも良いでしょう。

3. 自分の持ち株全体を見直す機会になる

株式分割をすると、ある銘柄の株数が増えます。それによって、あなたの持っている株の中で「どれがどれくらいの割合を占めているか」が変わってしまうことがあります。

例えば、ある一社の比率が高くなりすぎると、その会社の株価が下がったときに資産全体のダメージが大きくなってしまいます。

そのため、分割をきっかけに、他の株と比べてバランスがとれているかを確認し、必要であれば見直すことをおすすめします。

投資は「分けて持つ(=分散)」ことでリスクを減らせます。分割によって割合が変わったと感じたら、持ち株の整理を検討してみましょう。

株式分割のよくある質問

株式分割のよくある質問

Q1. 株価は必ず上がるのでしょうか?

株式分割の発表は、多くの場合「良いニュース」と受け取られるため、短い期間では株価が上がることがあります。

ただし、株価が上がるかどうかは、会社の成績や世の中の景気にも関係します。そのため、必ず上がるとは言い切れません。

☑️ ポイント:株式分割はあくまで「きっかけ」に過ぎず、本質的には会社の中身(業績など)を見て判断することが大切です。

Q2. 株式分割のあとどうすればよいですか?

分割が行われると、持っている株の数が増える一方で、株の値段はその分だけ下がるため、全体の資産の金額は変わりません。

そのため、分割が終わったあとには、今の株価に合わせて改めてその会社の成長の見込みや業績を見直してみましょう。

必要に応じて、他の株とのバランスも考えておくと安心です。

☑️ 補足:分割をきっかけに、利益確定の売りが出ることもあります。

Q3. 株式分割と株式併合はどう違うのですか?

株式分割とは、1株を2株や3株などに増やして、1株あたりの価格を下げることです。これにより、株が買いやすくなり、売買が活発になります。

一方、株式併合は、2株や10株などを1株にまとめることです。こちらは株価を引き上げて、会社の印象を良くしたり、上場ルールを守ったりする目的があります。

☑️ 要注意:見た目の株価が変わるだけで、会社の本当の価値が変わるわけではありません。

Q4. 適用日はいつ決まるのですか?

株式分割は、「基準日」と呼ばれる日をもとに決められます。

この日は会社が発表し、その情報は証券会社のホームページや、取引所の発表で確認することができます。

Q5. どんな会社で株式分割がよく行われるのですか?

大きく成長している会社や、株価が急に上がって手が届きにくくなった会社では、株式分割が行われやすい傾向があります。

例えば、技術関連の会社や、業績がとても良い会社などがそれにあたります。

株価を下げて買いやすくすることで、より多くの人に株を持ってもらう狙いがあります。

まとめ

株式分割は、株を買いたい人を増やし、売買を活発にするための大切な方法の一つです。ただし、株の数が増えても、会社そのものの価値が変わるわけではありません。

そのため、分割のニュースだけに飛びつかず、会社の業績やこれからの見通しをきちんと見たうえで、落ち着いて判断することが大切です。

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