決算短信とは、株式投資において重要な情報源の一つです。将来の見通しやリスク要因なども掲載し、投資判断の裏付けとなる重要な参考資料として活用されています。
この記事では、決算短信の基本的な意味や内容、投資家にとっての重要性について解説します。
決算短信とは?
決算短信(けっさんたんしん)とは、上場企業が四半期ごとに発表する決算報告書のことです。
日本の証券取引法に基づき、上場企業には提出義務があります。
一般には「決算発表」「決算公告」「決算報告書」とも呼ばれますが、特に株式市場で注目される重要な報告書です。
決算発表翌日は株価が大きく変動しやすいため、保有している場合は注意が必要です。
入手方法
決算短信は、下記から入手でき見ることができます。
- 企業の公式サイトの「IR情報」
- Yahoo!ファイナンスの「適時開示」
- 株探サイトの「開示情報」
- 松井証券やauカブコム証券など証券会社
おすすめは、株探サイトです。株探プレミアムなら、過去の成長性や収益性、業績修正の一覧を見ることができるのでおすすめです。
決算発表が多い時期
決算の発表時期は企業ごとに異なりますが、集中している時期はあります。
1. 第1四半期決算発表(4月~6月期)
発表時期: 7月下旬から8月初旬
内容: 4月から6月までの業績
2. 第2四半期決算発表(7月~9月期)
発表時期: 10月下旬から11月初旬
内容: 7月から9月までの業績
3. 第3四半期決算発表(10月~12月期)
発表時期: 1月下旬から2月初旬
内容: 10月から12月までの業績
4. 本決算発表(1月~12月期または4月~3月期)
発表時期: 4月下旬から5月初旬(1月から12月までの本決算)
発表時期: 5月中旬から6月初旬(4月から3月までの本決算)
内容: 通期(1年間)の業績
日本の企業の多くは、会計年度が4月から翌年3月までとなっているため、特に本決算発表(通期決算)が5月に集中しています。
また、第2四半期(半期)決算も重要な時期とされ、多くの企業がこの時期に注目を集めます。
この時期は、投資家やアナリストにとって重要な情報源となるため、企業の業績動向や今後の見通しについて詳しい情報を得るために注目が集まります。
したがって、決算発表シーズンは市場の動向に大きな影響を与えることが多いです。
決算発表のスケジュールは、日本経済新聞サイトから確認できます。
開示が遅れたら?
決算短信の開示が遅れると、投資家や市場は企業の内部管理体制や経営の健全性に対する疑念を抱きます。その結果、株価の下落を招く可能性があります。
参考例ですと、2024年2月13日にAbalance(3856)の決算の延期が発表されました。
翌日2月14日に株価はストップ安になり、2月15日には大幅ギャップダウンから始まりました。決算の延期によって2日で33%も下落しています。
決算短信の内容
決算短信には、売上高、利益、資産の状況、キャッシュフロー、業績予想などの重要な情報が記載されています。企業の経営状況を把握し、健全性や収益性を評価するために欠かせない資料です。
主な内容は下記の3つ
- 財務ハイライト
- 経営成績等
- 財務諸表
それぞれについて詳しく見てみましょう。
財務ハイライト
財務ハイライトは、財務状況を要約して投資家や株主に伝えるための重要な部分です。
売上高(売上収益)、利益(営業利益、税引前利益、純利益)、貸借対照表の要素、キャッシュフロー計算書の要素、重要な財務指標(ROE、ROAなど)などが報告されます。
経営成績等
経営状況や業績の概要を詳細に説明する部分です。
この部分では、企業の売上高、営業利益、経常利益、当期純利益などの業績概要を説明しています。また、事業セグメントごとの詳細な業績も含まれます。
さらに、総資産や負債、純資産などの財政状態も詳しく書かれています。
キャッシュ・フローの状況についても説明しており、営業・投資・財務活動による現金の流れが示されます。ROEやROAといった重要な経営指標も報告されます。
配当の状況や今後の方針も含まれます。また、経営環境の分析と将来の見通しも説明してあり、リスク情報も書かれています。
これらの情報は、投資家やアナリストが企業の経営状況や将来の見通しを評価するために欠かせないものです。
財務諸表
財務諸表は、財務状況や経営成績を示すための重要な書類で、主に以下の3つで構成されています。
・貸借対照表(バランスシート)
貸借対照表(バランスシート)とは、企業の財務状況を一目で理解できるようにするための財務諸表の一つです。
この表は、ある特定の時点における企業の資産、負債、純資産の状況を示しています。貸借対照表は、企業の経営状況を評価したり、将来の経営戦略を立てるために重要な役割を果たします。
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・損益計算書(インカムステートメント)
損益計算書(インカムステートメント)とは、特定期間内に得た収入とその期間にかかった費用を示した財務諸表です。
経営成績を明らかにするための書類であり、どれだけ儲かっているか、あるいはどれだけ損をしているかを知ることができます。
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・キャッシュフロー計算書
キャッシュ・フローとは、企業や個人の現金の流れを示すものです。簡単に言えば、お金がどこから入ってきて、どこに出ていくのかを表します。
企業の財務状況を把握するための重要な指標であり、健全な経営を続けるためには欠かせない要素です。
キャッシュ・フローを見れば、どれだけ効率的に現金を管理し、事業運営を維持・拡大するための資金を確保しているかを判断できます。
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決算短信の注意点
決算短信を読む際に注意すべき点をいくつか挙げます。
比較をしよう
数値を理解する際には、前年同期との比較や前四半期との比較を行うことが重要です。これにより、成長や変化を把握しやすくなります。
さらに、他の企業や業界全体の動向と比較することで、市場ポジションや競争力を理解しやすくなります。これにより、業績を適切に評価する手助けになります。
財務指標を理解しよう
ROE(自己資本利益率)、ROA(総資本利益率)などの財務指標が示されている場合、これらの指標がどのように計算されているかを理解し、収益性や資産活用能力を評価しましょう。
経営陣のコメントを読もう
経営陣が業績や将来の見通しについて述べるコメントを読みましょう。これらのコメントには、ポジティブな側面だけでなく、リスクや課題に対する言及も含まれる場合があります。
リスクについて書かれている場合は、それが業績や将来展望にどのように影響するかを考慮することが重要です。
決算短信のよくある質問
決算短信に関するよくある質問とその回答をまとめました。
Q1.読むメリットは何ですか?
決算短信を読むことで、企業の業績や財務状況を詳細に把握することができます。投資家は、企業の成長性や安定性を判断するための重要な情報源として活用しています。
Q2.注目すべき業績指標とは?
売上高、営業利益、純利益などの基本的な業績指標が重要です。これらの数字は経営成績を把握するための基本的な情報源となります。特に前年同期との比較や、予想との一致具合が注目されます。
Q3.どこを見ればいい?
時間があれば全てを確認するのが理想ですが、限られた時間では財務ハイライトと経営成績等だけで充分です。決算が集中している時期は特に、効率よく情報を把握するために重要なポイントに絞って確認しましょう。
Q4.決算発表後に買っても遅くない?
決算が良ければ、発表後に株価が大幅に上昇することがよくあります。好決算になる可能性のある銘柄を事前に買うのが理想ですが、時間がない場合は決算発表後に分析してから買うのが効率的だと思います。
Q5.保有銘柄が発表後に暴落したら?
決算内容を確認して、今後期待できない場合は、早めに売却(利益確定または損切り)を検討しましょう。期待できない企業の株を保有し続けることは、損失を広げる可能性があります。
まとめ
決算短信は企業の財務状態と業績を明確に把握するための重要な報告書であり、株投資家にとっては投資判断の根拠となる重要な情報源です。
株式投資を行う際には、定期的に公表される決算短信をチェックすることが必要です。
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