用語解説

ROA(総資産利益率)とは?目安や計算方法、判断方法について詳しく解説

2024年7月14日

※本ページにはプロモーションが含まれてます。

ROA(総資産利益率)とは、会社が持っているすべての資産を使って、どれくらい上手に儲けを出しているかを表す数字です。

この数字を見ることで、その会社が「賢くお金を使っているかどうか」や「しっかり利益を出せているかどうか」が分かります

この記事では、ROAの意味や計算方法、そしてその判断方法について詳しく解説します。

ROA(総資産利益率)とは?

ROA(総資産利益率)とは?

会社が持っているすべての資産を使って、どれだけ利益を出せているかを表す数字のことです。

資産とは、お金・工場・機械・建物など、会社が持っているすべての財産のことをいいます。

このROAを見ることで、会社がその財産をどれくらい上手に使っているのかが分かります。

ROAは英語の「Return on Assets」の頭文字を取ったもので、日本語では「総資産利益率」と呼ばれております。

ROA(総資産利益率)の目安

ROA(総資産利益率)の目安

ROAがどれくらいあれば「良い」といえるのかは、会社の業種や働き方によって変わります。
ただ、ざっくりとした目安としては、次のように考えることができます。

1. 一般的な目安

・10%以上:とても良いとされる水準です。資産をうまく使って、しっかり利益を出している会社といえます。

・5%以上:良好とされます。多くの会社にとって、このラインを超えていれば「順調」と見なされます。

・2〜5%:平均的な水準です。利益は出ているものの、もう少し工夫の余地があるとも考えられます。

・2%未満:やや心配な数値です。資産を十分に活かしきれていない可能性があり、改善が必要とされるかもしれません。

※数字はあくまで目安であり、すべての会社にそのままあてはまるわけではありません。

2. 業界別の目安

業界によってROAの「出やすさ」は違います。なぜなら、必要な設備や資産の量が業種ごとに大きく変わるからです。

以下に、代表的な業種ごとのROAの目安をご紹介いたします。

・製造業(例:車や機械の会社)
→ 目安:5〜10%
→ 工場や設備にたくさんお金がかかるため、資産が多くなりがちです。その分、ROAはやや低くなります。

・サービス業(例:学習塾や美容室など)
→ 目安:10%以上
→ 機械や建物をたくさん使わなくても利益が出せるため、ROAは高くなりやすいです。

・小売業(例:スーパーやコンビニなど)
→ 目安:5〜10%
→ 商品の売れ方(回転の早さ)が大事になるため、資産の使い方が売上に大きく関わります。

・金融業(例:銀行や保険会社など)
→ 目安:1〜2%
→ とても大きな金額のお金を扱っているため、ROAの数字は小さくなりやすいですが、必ずしも悪いというわけではありません。

ROA(総資産利益率)の計算方法

ROA(総資産利益率)の計算方法

最新のROAは、バフェット・コードなどで確認できますので、わざわざ計算する必要はありませんが、一応説明します。

計算は非常にシンプルですが、計算に使用するデータの正確性が重要です。

財務諸表を正確に理解し、適切な数値を用いて計算することが求められます。

以下の式を用いて計算します。

ROA(総資産利益率)の計算方法

・純利益:一定期間に得た最終的な利益
・総資産:所有するすべての資産の合計額

2-1. 具体的な計算例

例1:株式会社Aの計算

株式会社Aの財務諸表から以下の情報が得られました。

純利益:¥10,000,000
総資産:¥100,000,000

計算すると

ROA(総資産利益率)の計算方法

この結果から、株式会社Aは総資産の10%の利益を上げていることがわかります。

例2:株式会社Bの計算

次に、株式会社Bの財務諸表から以下の情報が得られました。

純利益:¥5,000,000
総資産:¥50,000,000

計算すると

ROA(総資産利益率)の計算方法

株式会社Bも同様に総資産の10%の利益を上げていることがわかります。

ROA(総資産利益率)の判断方法

ROA(総資産利益率)の判断方法

ROAは、会社が持っているすべての資産をどれくらい上手に使って利益を出しているかを見る数字です。この数字を正しく読み取ることで、会社の「賢いお金の使い方」が分かります。

では、ROAをどう判断すれば良いのか、順番に見ていきましょう。

1. 一般的な目安を知っておく

まず、ROAがどれくらいなら良いのかという「目安」ですが、一般的には以下のように考えられています。

  • 5%以上なら「良い状態
  • 10%以上であれば「とても良い状態
  • 2%未満だと「資産を上手に使えていない可能性がある

ただし、これはあくまで一つの目安であって、すべての会社にあてはまるわけではありません。

業界ごとの特性や、会社の経営のしかたによっても違ってくるので注意が必要です。

2. 同じ業界の会社と比べてみる

ROAは、同じような仕事をしている会社どうしで比べることで、より正しく判断できます。

たとえば、工場をたくさん持っているような「製造業」では、資産が多くなりやすいのでROAは低めになります。

反対に、人の力でサービスを提供する「サービス業」などでは、資産が少ないぶんROAが高くなりやすいです。

業界によってもROAの出やすさが変わるため、必ず業界の平均と見比べて判断することが大切です。

3. 過去のROA推移を見る

ROAを判断するうえで、過去の数字と比べてみることも大切なポイントです。

たとえば、3年前・2年前・去年とROAが少しずつ上がっている会社は、だんだんと資産の使い方が上手になってきていると考えられます。

一方で、年々下がっている会社は、利益の出し方や資産の使い方に問題があるかもしれません。

この場合、経営の見直しや方針の変更が必要になることもあります。

数字の「高さ」だけでなく、「変化の方向」にも目を向けてみると、より深く会社のようすを読み取ることができます。

ROA(総資産利益率)を見るときの注意点

ROA(総資産利益率)の注意点

ROAは大事な数字ですが、正しく理解して活用するためには、いくつかのポイントに気をつける必要があります。

それぞれ、順番に見ていきましょう。

1. 業種によって適正ROAが違う

ROAの目安は、会社の属する業界によって変わります。

たとえば、工場や機械など多くの資産を必要とする「製造業」や「重工業」では、どうしてもROAが低くなりがちです。

一方で、あまり資産を使わずに仕事ができる「サービス業」や「情報関連の会社」では、高めのROAになることがよくあります。

そのため、ROAを比べるときは、必ず同じような業種どうしで比べることが大切です。

全く違う業種の会社と比べても、正しい判断にはつながりません。

2. 資産の評価方法が異なる

会社によっては、資産の金額を計算する方法が少しずつ違います。

たとえば、古くなった機械の価値をどれくらい下げるか(減価償却)や、在庫をいくらで評価するかなど、会計のルールが異なるとROAの数値も変わってしまいます。

ですので、数字だけを見て判断せず、「どうやって計算しているのか」もできるだけ確認しておくと安心です。

3. 一時的な変化にまどわされないこと

ある年だけ売上が急に増えたり、費用を大きく減らしたりして、たまたまROAが良く見えることがあります。

また、土地を売ったり、特別な利益が出たりして、一時的に数字が高くなる場合もあります。

こうしたケースでは、数字が良くても「たまたま」の可能性があるため、1年だけで判断せずに、2年・3年と続けて見ることが大事です。

4. 借金の多さ(資本の形)にも気をつけよう

ROAは「資産全体に対しての利益」を表す数字ですが、実は会社がどれくらいお金を借りているかによっても数値が変わってきます。

たとえば、借金(負債)が多い会社は、資産のわりに自己資本が少ないため、見かけ上ROAが高くなることもあるのです。

そのため、ROAを見るときは「借金の割合」や「自己資本比率」など、他の数字とあわせて判断することが重要です。

5. 会社の成長段階によっても変わります

まだ成長の途中にある会社は、新しい事業や設備にたくさんお金を使っていることが多いため、ROAが低めになることがあります。

一方で、すでに成長が落ち着いた会社では、資産の使い方が上手になっていて、高めのROAを出せることが多いです。

なので、「今この会社はどの段階にいるのか?」を考えながらROAを読み解くことが大切です。
成長中の会社では、ROAだけで判断せず、「将来の伸びしろ」も一緒に見てあげましょう。

ROA(総資産利益率)のよくある質問

ROA(総資産利益率)のよくある質問

Q1. 理想的な数値はどれくらいですか?

業種によって違いはありますが、一般的には 5%以上がひとつの目安とされています。この数値を超えている企業は、持っている資産をうまく使って利益を出していると考えられます。

Q2. 高いとどんなメリットがありますか?

ROAが高いということは、会社が自分の持っている資産からしっかりと利益を生み出しているということです。

資産の使い方がうまく、効率的にもうけている企業として、投資家などから高く評価されやすくなります。

Q3. 低いとどこに問題がありますか?

ROAが低い場合は、資産を上手に使えていない、あるいは利益があまり出ていないことを意味するかもしれません。

その場合は、無駄が多かったり、売上が少なかったりして、経営の見直しが必要な可能性もあります。

Q4. どんなことで変わりますか?

ROAは、以下のような要因で変わってきます。

  • 売上が増えたり減ったりすること
  • 利益の出やすさ(利益率)の変化
  • 資産の持ち方や使い方
  • 人件費や経費の増減
  • 借金の多さや返し方(財務の方針)

たとえば、売上や利益が増えればROAは良くなりますが、逆に無駄な支出や借金が増えると下がることがあります。

Q5. 他の指標にはどんな違いがありますか?

ROAは「全体の資産」に対して、どれだけ利益を出しているかを見るものです。

一方で、ROE(自己資本利益率)は、会社が自分のお金(借りていないお金)を使ってどれだけ利益を出しているかを表します。

どちらも大切な指標で、それぞれ違った角度から企業の力を見られます。

Q6. どんな業界で特に大事ですか?

ROAは、工場や機械などたくさんの資産を持つ業界、たとえば「製造業」や「重工業」などで特に注目されます。

こうした業界では、資産をどう使うかが利益に大きく影響するため、ROAがその企業の強さを見る目安になります。

まとめ

ROA(総資産利益率)は、「会社が持っているもの(資産)を、どれだけうまく使って利益を出しているか」を表す大切な数字です。

過去のデータや他の会社と比べることで、成長力や経営の上手さを客観的に見られます。

また、ROEや営業利益率など、他の指標とあわせて見ることで、より正確な企業分析や投資判断ができるようになります。

数字を見るときは一つの面だけでなく、全体をバランスよく見ることが大切です。

-用語解説